contest manual for 1994 ALL JA

3. オペレータの技術 [基本]

3.1 状況の把握と予想
把握すべきなのはおもにコンディションのことです。作戦を立てる際には コンディションの変化の予想をもとにします。つまり,電波の伝わり方がどのような変化をするかということを予想して,それに合わせて力のいれどころを決めるわけです。3.5MHzは夜によく飛ぶとか,7MHzは朝方からコンディションがあがってきてそれにつれて聞こえる地域も変わってくるから,日が昇ったら3.5MHzはやめちゃって,7MHzに力を入れようかと作戦を立てたりします。 しかしコンディションは気まぐれでもありますから,ぜんぜん聞こえなかったり,逆にEスポやスキャッタなど,いわゆる異常伝搬で爆発したりもするわけです。 そういうときは臨機応変な対応が必要で,21MHzがやたら呼ばれてきたなあとなったら,28MHzはどうだろう,CQ出してないとチャンスを逃すかもしれない。担当のオペレータに声をかけてこようなどと対応します。ほかに把握すべきなのは,機械の調子や,アンテナの調子です。モニター音がときどき聞こえなくなるから45度の角度で機械叩け,とか,アンテナの接触がときどきおかしくなるからローテーターでゆさぶって直せとか,このようなことは,コンディションの様子と一緒に,オペレータの交代の際,伝えるべきことでしょう。 交代したら,ログを見ながらいままでのペースやどの地方がいま聞こえているのかなどを把握します。 コンディションの予想と比較するとEスポやスキャッターが発生しているかもわかります。 ALL JAなど県がマルチのコンテストでは,どのあたりがまだ出来ていない のかも ながめておきます。

3.2 CQを出す

3.2.1 CQの意味
コンテストでは,CQを出している時間が大部分ですから,CQの上手下手が勝敗を分ける 第一の要因といえます。まず,CQの出し方を書きますが,上手なCQを出す ために,そのあとに記す説明も良く読み,事前に練習しておいてください。寝ぼけてもCQを出せるようになれば完璧でしょう。CQ には,次のような意味がこめられています。

  • 私はここにいます
  • 私はコンテストに参加しています
  • コールサインは JA7YAF です
  • 今すぐ受信を始めますから,さあ,今すぐ呼んでください

まず,他の局に自分の存在を気づかせます。そのために電波を出すのです。とはいえ, 受信もしなくてはいけませんが,経験的には,短めのCQを頻繁に繰り返すのが 一番良いとされています。呼ばれないからといってリズムを崩すのは 逆効果です。なお,CQを出したあと何秒も電波を出さないのは最悪です。これでは気が付いて もらうことができません。次にコールサインをはっきり伝えまず。ここが一番大事なことなので,わかりやすく送信します。

3.2.2 CQの出しかた
電話でのCQの出し方について書きます。CQは一息でいえるように練習をしてください。何度も息継ぎをするより 体力の消耗が少ないでしょう。

CQコンテスト,Juliet-Alpha-7-Yankee-Alpha-Florida,
JA7-Yankee-Alpha-Floridaコンテストどうぞ

これを何回も唱えて,無意識で出せるようになるほど練習します。無意識で出せるようになるとCQを出しながらデュープチェックをするなど,いろいろな作業を平行してすることができます。次に,声量を一定にするように練習をします。声量が不安定だと,弱いところが そのまま聞き取りにくくなります。CQを出しながらパワーメータの動きをみて,できるだけ一定の振れを 保つように,針がぐらぐら動かないように発声します。 でかい声を出すことより,安定した聞き取りやすい発声と発音をすることを 考えてください。声がでかすぎると,疲れてしまいますし,ほかのバンドの オペレータの邪魔になりかねません。

一息でやるのがつらいときは一回目のコールサインと 2回目のコールサインの間で 息継ぎをしてください。ただし間をあけすぎると,受信にはいったと思われます。 発音についてですが,"コンテスト"は"コンテs"という感じの発音でか まいません。Julietのtもかすかな発音でいいでしょう。7,sevenは,seを 強調してください。セ・ヴンという感じです。このようにしないと スリーと 紛らわしくなります。 2回目のコールサインは"ジェイエイセヴン"で始まります。 2回目を ジェイエイセヴンヤンキーアルファフロリダにするかどうかは好きずきです。 ジェイのイ,エイのイはちゃんと発音してください。エーと発音するとEと紛らわしくなります。Yは,ぅワイという感じで 発音してください。Iとの違いをはっきりさせます。 フォネティックを使う際,あまり英語らしい発音やアクセントにこだわる必要はありません。ただ,fやvは,英語の発音を使った方がCQを一息でやるときに楽なのではないかと思います。 呼びやすいCQを出すことを心がけましょう。

前に書いたように,短いCQ を間隔をあけないで繰り返すのがいいでしょう。 受信している間が長いと,そこは電波を出していないわけですから,存在に気づいてもらえません。相手はダイヤルを回しながら探しているのですから, 素通りされないようにします。最後に``どうぞ''をつけると,受信に入ったことが よくわかり,コンテストに始めて参加するような人も呼びやすいでしょう。


3.3 周波数の確保

コンテストではある程度強気で周波数を確保しないと, 他の局に先に取られ るばかりか, CQを出していても他局にぶんどられてしまいます。7MHz以下の SSBは非常に混雑しているので,お互いに混信を与えながらの運用になります。 隣とは1kHz離れることができれば良いほうでですが,1kHzを大幅に割り込んでの運用はトラブルの可能性がでてきます。 混んでいるバンドでは,あいているところが あれば躊躇してはなりません。 とにかくすぐに確保しましょう。周波数を確保するときに注意すべきことは自分の地域ではあいている周波数が, 他の地域でもあいているとは限らないことです。 自分の地域で聞こえない局が出ているのかもしれませんし, 実は他の地域では混信がひどいためその周波数があいている場合もあります。 具体的には,次の3つの例がよくあるものです。

3.5MHzのSSBで,ギャーなどの妙な電波が聞こえる周波数。 3.5MHzでは,遠くほど弱くなります。この電波がシベリアなど北から来ているなら, 北海道で はうるさいかもしれませんが,盛岡でそれほどでもないなら,関東以南では まったく問題なく,呼ばれる周波数になります。 逆に,台湾の方から来ているなら,関東以南ではうるさく,呼ばれません。

14 〜 28 MHz以上では,盛岡周辺をのぞけば,近い局は微弱です。 バンドが 適当にうるさいと,特にSSBでは,盛岡と山形で同じ周波数を使ってしまう ような場合があります。 このときは,妙なタイミングで呼んでくる局が あったりしますが, お互いに同じような強さだと,呼ばれなくなります。

50MHzでは,JA7YAFの電波は,アンテナをこちら側に向けると交信できる可能性が 十分あります。しかし,東京の方で混信が多いことがしばしばで, こちらがCQを 出してもなかなか見つけてもらえません。 あいている周波数がいいとは言っても,逆にすいているバンドでは,他の局 から遠く離れた周波数を使うと, だれもダイヤルを回してくれません。

これは特に28MHzのSSB で言えることで, コンテスト周波数が28.650 〜 28.850ですが,通常下の方を中心に使います。 21MHzのSSBは,コンテスト周波数が21.350 〜 21.450 ですが, USBですから,ほとんどの局は最初21.350にダイヤルを合わせ,だんだん上の周波数にいくことになります。したがって,自分の電波に自信があれば, 21.350 〜 360でCQを 出すのが一番呼ばれます。 しかし,低い方ほど混信もありますから,21.380以上を使うことが多くなるでしょう。14MHzのSSBのコンテスト周波数は狭いのですが,上の方がすいていることが多いようです。電信の周波数の取り方は次のようになります。電信はいれかわりが多いし, ゆっくりダイヤルを回さないとあいている周波数がみつけにくいので, ペースがそれほどでもなさそうなときは,呼びに回るかたわらあき周波数を見つけてもよいでしょう。 隣とはできれば 500Hz,最悪でも400Hz離れます。せますぎないCWフィルタを使っているなら,隣の局が聞こえなければ,大丈夫で しょう。あいている周波数があれば,数秒受信し, "?(・・−−・・)"と 送信します。 また数秒聞いて反応がなければ,JA7YAF TESTと送信します。 これでもCQなので,さっそく呼ばれることもあります。文句がなければCQに入ってください。 逆に,?とかQRL?と打たれたら,単にCQを出せばそれで使っているという 意思表示になります。 使っていますといいたければ,AS(・−・・・)か, QSY TUです。 電話では,隣からどのくらい離せばいいかというと,すいている ならお互いに聞こえないようにすればいいわけですが,そうも行かないときはできれば2kHz程度とります。 にぎやかなバンドではこれも難しく,1.5kHzほどになってもいいでしょう。


3.4 3.5MHz,7MHzSSBの周波数の確保

3.5・7MHzは,非常に混んでいますから,間隔を1kHz とれれば幸運です。 0.8kHzを切ると,お互いに苦しくなってきます。 なかなかあき周波数が みつからないときは, バンドの中で,比較的Sメータの振れが少ないところを 選びます。 具体的には,コンテスト周波数の上に近い方がこの傾向があるようです。2局が1kHz以上離れているところがあれば,その中間の周波数に割り込んで いくことになります。運良く強い局の隣があいていれば,間に割り込んでくる局がなく,快適に続けることができます。 例えば,JA7YAAとJA7YAFが1.5kHzほどあけて 並べば快適です。その中間の周波数は普通だったら割り込みの対象になりますが,どちらも強いので,割り込めないのです。 しかしこのような都合良い状態になることはまれです。関東の強力な局が使っている周波数のとなりを使うと,大票田の関東の局数をかせぐことができないことがあります。呼んでくる局は,その関東の局より弱いのが`普通ですから,受信も難しくなってきます。ここに出てみようと決めたら,絶対「この周波数お使いですか?」と言っては なりません。言ってしまうと,「使っています」と言われたらおしまいです。最初に送信すべきは,電信と同様,JA7ワイエイエフコンテストです。これで文句が出なければ,そのままCQに入ります。周波数がぶんどられるのは,こちらが電波が弱いか,運用にスキがあるときです。CQを出したあとに何秒も受信していると,これはぶんどれそうだ,と判断されます。

以上,3.5・7MHzでの周波数の確保について述べましたが, 他のバンドで強引に 周波数をとるのは良くありませんし, 144MHzなどでは十分確認してから周波数を 確保する必要があります。


3.5 ナンバー,コールサインのやりとり

コールサインの聞き取り,ナンバーのやりとりをするときに,適切な言葉を使い, どれだけ効率的に,確実にコンテストが 進められるかというのがオペレータの技術的な力量を表します。技術的というのは,だれでも習得可能であるということです。あとは天性の耳の良さ,とおる声などで特徴がかわってくる わけです。

コールサインを聞き取る
CQを出しているときに呼ばれ,その局をピックアップするときについて 説明します。はっきり聞き取れるときはそのままその局のコールサインを 呼んでナンバーを送ってやればいいわけです。そのときに全てフォネティックを使うか,プリフィクスにだけ使うか, 全く使わないかは,その局がどのように自分のコールサインを言ったかによるでしょう。基本的にはオウム返しのかたちでいいでしょう。 大抵の局は全部フォネティックを使うでしょう。ただ,フォネティックは一文字に対して一つ限りではありません。聞き取るためにはどんなものを使われても対応出来る ことが必要ですが, オウム返しをしようとしたときに,つまってしまうような 使用頻度の低いものを使われたときは,自分の使い慣れているものに直して拾ってあげてください。 よく聞き取れなかったときは聞き返します。

QRZ?
QRZ?もう一度どうぞ
わかりません,もう一度どうぞ

上から順に1回目聞き返すとき,2回目聞き返すときという感じです。"もう一度" を2回繰り返すと,とっても聞き取りにくいからがんばって送信してくれという感じになります。 初心者は聞き取りにくいとすぐ諦めがちなのですが, よほどペースが早いというときでなければ,しつこく聞き返すべきです。 自分の力量が悪いのではなく,相手の電波が弱い,混信がきついんだと思って聞き返してください。相手としてもこちらと 交信したくて呼んできた のですから,なんとか交信を成功させたい はずです。コンディションは常に変化しますから,何回かやりとりをしている間にふっと浮き上がってくると言うことがしばしばあります。ですから,幻聴がきこえるんじゃないかというくらい神経を集中させてがんばって聞き取ってください。 部分的には分かったがすべてが分からないということがあります。 そういうときは 分かった部分だけ言って拾います。具体的には,最後の文字だけわかったとか,エリアだけ聞き取れた, プリフィクスだけ聞き取れたといったケースがあるでしょう。そういう場合は順に

ラストレターAlphaの局どうぞ
2エリアの局いらっしゃいますか,どうぞ
JR3の局どうぞ

というような拾い方になります。最後Alphaの局,とか,テールレター Alphaどうぞ,という拾い方もあります。ほかにはサフィクス, ミドルレター,ファーストレター,トップレターというそれぞれの 呼び名がありますので,応用 すればいいでしょう。しかしこれらの用語にあまりこだわる必要はなく,例えばJM7XKCのXKがわからないとしたら, 「JM7なんとかチャーリーもう一度どうぞ」でもかまいません。 ``なんとか''の代わりにsomethingを使う人もいます。ただこれは発音しやすいとはいえないし,サフィクスがわからないときに somethingを3回 言っちゃうなんてのはアホなので止めてください。やりとりがあまり長引くようなら途中で自分のコールサインを言う必要が出てきます。 呼びに回っている人がこのやりとりを聞きながら,交信が終わったら 呼んでみようと思っているかもしれません。そうでなくても 一定間隔で自分のコールサインを送出すると言うのは基本です。 どうしても聞き取れない場合は,とくに謝る必要はありません。 状況が悪かったと思ってCQに移ります。「ちょっと無理みたいです。また呼んでください。」という感じのことを言ってもいいでしょう。 あっさりと切り替えてください。要は必要以上の空白をつくらないように,ということです。一度にたくさん呼ばれて,部分的に指名するといった状況になったとき,「Delta-X'ray の局どうぞ」といってみたものの,しーんとしてしまうこともあるでしょう。そういったときはすぐさまリセットをかけ,だれが呼んでもいい状態,「さあ,みんな呼んでくれ」という 状態を作ってください。


3.6 ナンバーを送る,聞き取る

こちらから,5903100どうぞという形が準的でしょう。ごぉきゅうぜろさんひゃく, といった 発音になります。ゼロを``まる''ということもありますが,聞き取りやすさ,判別のしやすさから考えると,``ゼロ''のほうが 強力だと思われます。YAFのコンテストナンバーについてはこれだけでしょう。ナンバーを聞き取るときには,ただ漠然と聞くのではなく,数字の意味を考えて聞き取ってください。ですから,59というのはナンバーを送るよ,という準備のためのもので,聞き流していいわけです。

さて,次は都道府県ナンバー,パワーと続くのですから,あてはまる数字の種類は 限られてきます。その局のコールサインでも都道府県ナンバーは 限定されるのでナンバーに関する知識を持っていると 予想する事が出来るので効率も上がります。ナンバーを聞き取る際にも部分的にしか分からないと言うことがありえます。そういうときは大抵「ナンバーもう一度お願いします」 もう一回全部送ってもらうことで解決することが 多いのですが,時によっては部分的にだけ聞いて,その部分だけ送ってもらった方が聞き取りやすいと言うこともあります。 聞こえ方が弱くなったり強くなったりを一定間隔で繰り返す,いわゆるフェージングのときがそれです。長ったらしく送ってもらうといつも特定の部分だけわからんということになりかねません。そういうときは,「パワーわかりません,何ワットですか?」などと聞くことで,相手がじゅうわっと,じゅうわっと,と繰り返してくれれば聞き取ることが可能です。それぞれの状況で使い分けてください。県ナンバーが分からないときに「何県ですか」と聞くことで わかりやすくなるというケースもあるのですが,後続の局がみんなでナンバーに県名をくっつけるという事態に なることがあり,よけいな時間をかけることになりかねないのでよく考えて使って ください。

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